光石 貴さん
- 卒業期
- 平成14年 第2期生 博多人形体験講座(平成13年~平成21年迄)
- 受賞歴
- 与一賞展 特選、与一賞展 理事長賞、新作博多人形展経済産業省製造産業局長賞、経済産業省奨励賞
- Q1
- 育成塾に入塾したきっかけを教えてください。
九州産業大学のデザイン科で、広告やイラストレーションを学んでいました。学生時代は主にエアブラシでイラストを描くことに打ち込んでいて、ずっと「手を動かしてものを作る」ことが好きだったんです。
ところが、卒業後の就職活動がうまくいかず、しばらくフリーターをしていました。
そんな折、**新聞で「育成塾1期生の卒業記事」と「2期生募集のお知らせ」**を見つけました。
「2次元と3次元でジャンルは違うけれど、
手を動かす仕事で生きていきたい」
と考えていたこともあり、「これは一つのきっかけになるかもしれない」と思い、応募しました。
当時は福岡に4~5年住んでいながら、正直博多人形のことをほとんど知らなかったんです。
募集に応募したあとで、あわてて市内の小売店を回って博多人形をちゃんと見に行った、というのが本当のところです。
「こんな世界があったのか」と驚きつつ、
「ここでなら自分の“手仕事”を活かせるかもしれない」
そう思えたことが、育成塾に入った一番のきっかけです。
- Q2
- 学んで印象に残っていること、今も活きていることはありますか?
もともと立体造形の経験がなかったので、育成塾で触れるもの・見るものすべてが新鮮で、どれも強く印象に残っています。
- 粘土の扱い方
- 形のつくり方
- 型どりや成形の工程
- 彩色の技術
どれも一からのスタートで、最初のうちは**「作るだけで精一杯」**という感じでした。
それでも、当時教えてくださった先輩の人形師の先生方がとても親身で、工房見学にも連れて行っていただき、実際の仕事の現場や生活の様子を見せてもらえたことが、今でも大きな財産になっています。
特に印象的だったのは、
- 50年、60年と作り続けてきた80代の先生方が、
- いまだに「まだ作りたいものがある」と、すごい情熱で仕事をされていたこと
です。
「この仕事は、一生かけて向き合っていく世界なんだ」
「覚悟を決めて取り組むに値する仕事だ」
と、若い頃の自分は圧倒されつつも、強く心を動かされました。
当時の同期たちも「本気で人形師を目指そう」と考えている人が多かったように思います。
もちろん、その後は経済的な理由や家庭の事情などで続けられなかった人もいますが、
育成塾の時間と、先生方の姿勢は、
「博多人形を“仕事として続ける”とはどういうことか」
を考える、大きなきっかけになりました。
- Q3
- 現在の活動、またはこれからの目標を教えてください。
ある時期に、
「これを日々の糧とする仕事にしよう」
と覚悟を決めました。
師匠が90歳近くまで現役で制作を続けていたこともあり、自分もできるだけ長く、現役で人形づくりを続けていきたいという思いがあります。
現在は、自分の制作と並行して、
- 高齢者施設などでの人形教室
- 子どもたちや一般の方向けの体験会
といった活動も行っています。
そのなかで、
「博多人形が好き・興味があるという方は、潜在的にはたくさんいる」
と日々感じています。
だからこそ、もっと一般の人の目に触れる場を増やしていきたいと思っています。
制作面での目標
作品づくりについては、まず何より技術を磨き続けることです。
私の師匠は、
- 美人物
- 能物 など
ジャンルを問わず幅広いモチーフを、どれも高いレベルで手掛ける方でした。
自分も、少しでもその域に近づいていきたいと考えています。
今はまだ十分に手をつけられていない美人物や能物についても、
これから本格的に勉強し、作品の幅を広げていきたいと思っています。
もともと、初めて小売店で博多人形を見たとき、
全くジャンルの違う二つの人形が並んでいて、
「実はこれ、どちらも同じ作家さんの作品ですよ」
と店主の方に教えていただいたときの衝撃が、今も忘れられません。
「この人の弟子になりたい」と強く思った原点でもあります。
今度は自分が、
「全然違うタイプの作品なのに、どちらも光石さんの作品なんだ」
と驚いてもらえるような人形師になりたい――
それが、長い目で見たときの目標です。
- Q4
- 博多人形づくりに興味を持っている方へ、メッセージをお願いします。
まずは何よりお伝えしたいのは、
「作ることそのものは、本当に楽しい」
ということです。
粘土をこねて形をつくり、彩色をして、一体の人形を完成させる――
そのプロセスは、とても充実感がありますし、達成感も大きいです。
これは自信を持って「楽しいですよ」と言えます。
一方で、
「それを仕事として続ける」
となると、もう一段階別のハードルがあるのも事実です。
- 作品を売ること
- 生活とのバランスを取ること
- 長く続けるための覚悟や工夫
そういった部分まで含めて考える必要があります。
だからこそ、これから育成塾を考えている方・人形づくりに興味がある方には、
- まずは「作る楽しさ」を、思いきり味わってほしい
- そのうえで、もし「もっと深く関わりたい」と感じたなら、
仕事として続けることまで視野に入れて考えてみてほしい
とお伝えしたいです。
やってみて、
- 思っていた以上に粘土や細かい作業が好きだと気づく人
- 逆に、自分には合わないかもしれないと感じる人
それぞれいると思います。
それでいいのだと思います。
ただ一度、本気で作品を仕上げる経験をしてみると、人形の見え方も、自分の感じ方も、きっと大きく変わります。
「作ることは、間違いなく楽しい。その楽しさの先に、仕事としての道もある。」
そんな世界が博多人形にはあります。
興味がある方は、まず一歩、「作ってみるところ」から踏み出してみてください。
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